久しぶりに本を読んでいる。
本のタイトルは「
デザインするな」。
ドラフト代表の宮田識の言葉である。
最近何かと「進む道」で悩んでグチグチ言っている自分に響く言葉がたくさんあって、「ふーん」「なるほど」とか感心しているうちに、電車を行く先と逆方向に乗ったまま終点まで着いてしまった。
このタイミングで読んだのが正解だった。この本が出たのは2年前、もしその頃に読んでいたらおそらくあんまり響かなかっただろうな。
かるーく内容を紹介すると、
まず、「デザインするな」ということについてこう言っている。
「先に断っておきますが、僕は『デザインするな』というのを、これからデザインのスキル(技術)を身につける人には言いません。基本的なスキルが備わっているデザイナーに向けた言葉です。」
なぜそうなのだろう?と考えながら読んでくとこの本は面白い。
「見ているものは、人それぞれ違う。見たものは全部自分なんです。もし珍しい車が走ってきて『見た?』と問いかけても『え、そんなの走ってた?』となる。人は無意識に目と脳が連動して、見るか見ないかを判断している。」(中略)「自分が他人と違う何を見ているかを意識していると、自ずと個性が形づくられてくる」
この個性論の話はすごく面白かった。全文引用したいくらい。
「デザインを『志』と『仕組み』と『表現』の3つの段階で考えるとドラフトの姿勢に近づける。」これを筆者は菊竹清訓の「か、かた、かたち」を引用して表している。「か=本質」「かた=実体」「かたち=現象」の3段階で捉える設計方法論らしい。
「眼に見えるのが『現象』。色や形、つまり表現の世界である。その奥に『実体』がある。ものを成り立たせる仕組みや構造、理論の部分だ。華道や空手なら型。ゴルフや野球ならフォーム。型を覚えて形ができる。フォームをマスターすれば、いろいろな局面に対応できる。
さらにその奥の『そもそも』の次元に『本質』がある。」
ここで言っている「本質」が先ほどの「デザインするな」につながる。スキルのある人ほどそれがなくてもある程度の形が作れてしまうのかもしれない。だから「そもそも」なんでそれを作るのかを考えなさいってこと。これは簡単に言い過ぎかもしれないけどそういう解釈。
これまでが全4章中の第1章。
本書では、もっとわかりやすい例えでこれらのことについて書かれているので気になった人は読んでみてくださいな。
まあ、でもこれってデザインやってたら当然考える事じゃない?って言う人もいると思うけど、実際忙しいとか余裕が無いとかで「そもそも」まで立ち戻っている事ができていない人が大半じゃないかな。そんな気がします。
「デザインするな」の著者は
藤崎圭一郎。なんと俺が休学中に教授として藝大のデザイン科に入ってきたらしい。そんな人と話せるのは楽しみでしょうがない。就活は退屈でしょうがない。