2011/09/30

Ken Okuyama #3


連投してる奥山さんシリーズ。その3。

また元記事から引用。

まず、ルイ・ヴィトンの売り方とApple製品の売り方を成功例として説明しています。そんなの知ってるよって感じならここは飛ばしていいかも。

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『面白かったのは、日本のルイ・ヴィトンの社長のプラトーさんという方とある講演で、ルイ・ヴィトンのかばんは30万とか50万はしますよね、と話をしてたときのことです。
僕はプレゼントでルイ・ヴィトンのかばんを僕自身で買いたくてもなかなか買えないので、安くしてもらえませんか?と大胆な質問をしたら、うちは申し訳ないけどディスカウントはしません、と。
ただし、30万円のかばんを買えない人でも同じ素材を使ってうちは5万円の財布を売ってます、財布というカテゴリの中では一番高い商品です、5万円の財布を買えない人には犬の首輪をうちは売ってます、1万円で売ってます、猫の首輪ならもっと安いです、いろんなそのキーホルダーならもっと安いです、と。

それぞれのカテゴリでは一番高いものをうちは売っていて、決してディスカウントはしない、と。だけど同じノウハウ、同じ素材を使っていろんな商品展開をしている、だから実はルイ・ヴィトンというのはいわゆるブランド商品ではなくて、ライフスタイル全体を提供しているものだ、と。うちはかばん屋だからかばんしか売らないって言ったら利益は実は大して上がらないし、マーケットに入ってくる人も少ないです。でも同じノウハウでいろんな商品展開をして、全体のライフスタイルを提供しているからうちは健全なんです、ということを聞いて、これは感激しました。

もうひとつ、コモディティ商品ってこれは数を売るしかないのかっていうと、ご存じ僕も使っているiPhoneとかですね、スティーブ・ジョブズさんは引退されましたけれど、だけど会社として健全なAppleの商品というのは「プレミアム・ブランド」と言われていまして、これはいわゆるラグジュアリーブランドじゃないんです。プレミアム・ブランドというのは、多少プレミアムを払ってでも買いたいと思う商品で、安くてもいいんです。
ただ彼らの特徴というのは、ただハードウェアを売るんじゃなくて、ハードを売る前にインフラを作って、例えばコンピュータに同期して、ミュージックダウンロードシステムを作って、それでiPodから始まっていって、やっとiPhoneを売って、さらにその延長のiPadを作って、さらにその先に何があるのかを見ましょう、という全体の仕組みを売っている。
そのデバイスを通して、どういうトータル・エクスペリエンスを提供しているかというのがこのブランドの価値なわけです。ですからデバイスだけ売っても、実は利益率はものによってはそれほど高くありません。ただ、トータルで儲ける。このようにして、いわゆるコモディティ商品がエクスペリエンス・デザインに変わっていくことが非常に重要である、と。言い換えると、ブランド商品はライフスタイルデザインになって、コモディティ商品はエクスペリエンス・デザインになって、初めてビジネスが成立するということです。 』

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ここからが大事。

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『それを動かしているものは何なのか。

ニーズ(Needs)というのはよく皆さんプレゼンでも使われるし、よく聞く言葉だと思いますが、ニーズと並んで、あるいはニーズ以上に実は社会を動かしているのは、和製英語なんですけれども、ワンツ(Wants)です。

(中略)

ではこれって何なんでしょう。分かりやすく説明します。ここにトヨタの人はいないと思いますけれど、もしいたらすみません。トヨタのYaris(ヴィッツで知られるブランドの欧州名)という車は106万円から179万円で、それに対して同じ前輪駆動の4気筒エンジンで性能的には劣るBMWのminiは219万円から440万円です。なんとこちらのトヨタの3倍もするんです。ハード的には劣るものが、劣るものの方が何で3倍もするのか?それは人が求めるものが、左のものと右のものとは根本的に違うわけです。

例えば日本の時計メーカーが必死になって作って1969年に作ったクオーツですね、セイコーが発明したクオーツ時計、あれによって正確な時間の民主化が起こりました。
ところがすばらしい偉業を成し遂げた日本のメーカーがどんどん売るために価格ダウンをしていって、挙げ句の果てに電波時計で太陽電池がついてて100年間で2秒しか狂わない時計が3万円で買える時代です。
ところが右側のロレックスのデイトナっていうのは僕が買いたくても、これは定価が98万円なのですが、プレミアムが付いて150万円でもものが見つからないです。3日間机の上に置いておくと止まります、この時計は。こっちは100年間で2秒しか狂わないです。何でこっちの方が150万円で、こっちが3万円なのって思うじゃないですか。
ところが僕らがなんで機械式の時計を買うか。考えてください。全部機械でできてる、エレキが入ってない時計っていうのは、今土の中に埋めて100年後に掘り起こしたならば、ちゃんと動くんです。機械屋に持って行って、油注ぐだけで、この時計は一生動くんです。人間がものを作っている中で、自分が生きた証をこの世の中に残すためにモノとかコトを作ってる。僕もそうだと思うんです。だから、自分の50年とか80年とかそういう自分の人生を超えて、自分が何を残したのか、自分の人生の前と後に何があるのかってことを考えるのは、これは人間として、これ当然のことなんです。
こっちの時計は実は100年使おうと思っても、電池の形式が変わるし、中の半導体がもたないし、実は4年しかもたないです。100年で2秒しか狂わないって言ってる時計が実は4年しかもたないんです。こちらの時計は振ってさえいれば100年でも200年でも部品を換えながら使うことができる。だからなにか、この時計を最初に買った人がこの世からいなくなっても、この時計はその人たちが生きた証としてこの世に残るんです。なにかすごくロマンを感じるじゃないですか。なんか、日本人の宗教観が、全てのものに神が宿るというのが宗教観であれば、実はものをつくる、ことをつくるというのは、神が宿るほこらを作る、実は非常に貴重な仕事だと思うんです。そういうことを一番よく表しているのが、実はスイス式の機械式の時計だった、と。だから150万円するわけです。高いものはもっとしますよね。これがブランディングです。これがワンツです。これはニーズとは違う「ドライビング・フォース(「企業の未来に対する戦略的ヴィジョンを決定する最も根本的な因子」を意味する)」です。 』

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最後の方はなんかぐちゃぐちゃになってる気がするけど、たぶんこのWantsとか先読みする力ってのはビジネスとか関係なく必要なんじゃないかって思う。

iPhoneの新しいのがauで売り出されるらしいですね。もしそれでみんなauに移ったら日本の携帯はWantsが考えられてなかったってことになっているんでしょうね。

NeedsとWants。そろそろNeeds重視のデザインは古くなるのかね。そもそも最近嫌いなデザインはそれなんだけどね。なんか夢無くて。

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